【謎解き】難解なサスペンス映画『三つ数えろ』をまとめてみました。

この記事は約9分で読めます。

先日、Amazonプライムで『三つ数えろ』という映画を観ました。(原題”The Big Sleep”)

1946年公開のアメリカ映画で、主演はボギーことハンフリー・ボガート。ヒロイン役はローレン・バコールで、この二人は何と当時本物の夫婦でした。

『脱出』(1944年) で共演した二人はすぐに親密な仲になり、翌年結婚。当時ボガートは45歳、ローレン・バコールは20歳という25歳の年の差でした。1957年にボガートが食道癌で亡くなるまで仲睦まじい結婚生活を送ったそうです。

※注意※
ここから盛大にネタバレを含みます。

この記事は「三つ数えろ」の謎解きの記事なので、既に映画を観た方が楽しく読んでいただける内容になっています。

さて。
今回の「三つ数えろ」は、何の前知識もなく観始めた映画だったんですが、
いざ始まると登場人物がやたらと多い
名前だけで本人が全然出てこない。
誰と誰が繋がっているのか複雑でよく分からん

こんな感じで話はどんどん進み、残り20分の時点でも分からないことだらけ。

そしてそのまま映画は幕を閉じ、頭はカオス状態🤣

私は展開の早い映画やセリフがやたらと多い映画を観ていると頭が追い付かず、そのままやり過ごして記憶に残らない映画として忘却する手段をこれまで取ってきました。

しかし、今回はせっかくメモも取ったので、結局のところこれはどういう事件だったのか?というところを自分なりにまとめてみることにしました。

おおよそのあらすじはウィキペディアにも載っていますので、ストーリーをおさらいしたい方はそちらを読むともっと理解が深まると思います。

まずは、この作品の登場人物の相関図をご覧ください。
物語序盤で分かる情報のみを載せています。

大きい画像はコチラ


続いて、ネタバレが含んだ相関図です。

大きい画像はコチラ

これを見ると、登場人物の半数は死亡なり逮捕なりされていることが分かると思います。

事件の全貌について

1年前、次女カルメンと関係のあったジョー・ブロディから手切れ金を恐喝されたスターンウッド将軍は、かつて軍の指揮官だったショーン・リーガンを用心棒として雇った。

カルメンはリーガンを好きになり、思いを伝えたが振られてしまう。

逆上したカルメンはリーガンを殺害。

その場に居合わせたギャンブラーのマースは、リーガンの死体を遺棄し、それをネタにカルメンの姉ビビアンを強請る。

マースはリーガンの死を隠蔽するために、自分のと駆け落ちしたことにし、妻を人目のつかない別宅に匿う。

********

リーガンが失踪(死亡)して一か月程経った頃、A.G.ガイガーという古書店の男からカルメンの賭博代の請求書が届く。

娘にまた悪い虫が付いたことを危惧したスターンウッド将軍は探偵フィリップ・マーロウを雇う。

カルメンの過失をマースに握られているビビアンは、マーロウがリーガンの失踪について依頼されたのではないかと危惧する。

********

一方、カルメンに一方的に好意を寄せていたスターンウッド家の運転手O.テイラーはそのことが理由で解雇され、ビビアンの車を盗んで逃走。

ガイガーとカルメンの不純な関係を知っていたテイラーは、ガイガーとカルメンが密会している一軒家へ侵入しガイガーを殺害。

ガイガーに家を貸していたマースは、たまたま訪れたガイガーの家でマーロウと出くわす。

マーロウがスターンウッド将軍に雇われた探偵だということを知ったマースは、リーガンのことを嗅ぎつけられることを危惧し、ビビアンと手を打ち賭博場オーナーと客以上の関係が無いことをアピールする。

ビビアンの様子やブロディの女だったアグネスの証言などから真相を突き止めたマーロウは、ビビアンとスターンウッド家を守るためにマースの手下カニーノが待つアジトへと車を走らせる…


後は映画をご覧の通りだと思います。

上記は劇中のシーンやセリフから考察した根拠のある内容ですが、二カ所だけ私の推測も混ざっています。(それがどこかは最後に明かします)

数々の疑問点について

ガイガーは裏で何をしていたのか?

ガイガーは表向きは希少本を取り扱う書店の経営者でしたが、幾度となく闇商売をしている表現のシーンが出てきます。

私は結局最後までそれが何なのか分からず、見終わった後にググって知りました😅

正解は、ポルノ本のレンタル業だそうです。

レイモンド・チャンドラーの原作『大いなる眠り』や、過去にリメイクされた別バージョンの映画では露骨にそのシーンが再現されているそうです。

勘の鋭い方なら「ガイガーの店にやってきた疾しい雰囲気の中年男」「ガイガーの家にあった顧客名簿」「本屋の裏の顔」「隠しカメラ」「チャイナドレスのカルメン」などで察しが付いたかもしれませんね。

写真には何が映っていたのか?

この映画のキーアイテムとなるのが、ガイガーの家から持ち去られた写真のフィルム

要所要所でこのフィルムを巡ってストーリーが動きますが、結局最後までその写真が写されることはありませんでした。

この写真に写っていたのはカルメンですね。

ガイガーが殺害された時に現場にいたのはカルメンだけでしたから、これは間違いないでしょう。

そして、先程のガイガーの裏の顔から察すれば大層いかがわしい写真だったに違いありません。

(それで一度も画面に出なかったのが納得です😅)

そうでなければテーラーが現場から持ち去っていないだろうし、それを奪ったブロディも5000ドルなんて大金でゆすりを吹っ掛けたりはしないはずです。

運転手の死因は?

こちらは、『三つ数えろ』のウィキペディアのページに記載がありました。

「テーラーの死」は原作でも死因がはっきりと書かれていないため、ホークスはチャンドラーに問い合わせたが、チャンドラー自身も「わからない」と答えたという。

『三つ数えろ』ウィキペディアより

_(┐「ε:)_ズコー

これは私の勝手な推測ですが、テーラーは自殺なんじゃないかなと思います。

好きな女に振られ、仕事もクビになり、人殺しまでした挙句、よく分からん男にボコられて気を失い好きな女のハレンチな写真まで奪われた。

この状況で自殺じゃないことがむしろ不自然でしょう。

ガイガーの死体を隠したのは誰か?

マーロウが酩酊状態のカルメンを家に送り届けている間にガイガーの死体は消えていました。

その後、ラングレンが逮捕された時に「なぜ死体を隠した?」と刑事に尋問されているのでラングレンが隠したということで間違いないでしょう。

推測ですが、ブロディがテーラーからフィルムを奪った後に、ラングレンにガイガーの家へ行くように指示を出したのではないかと思います。

ブロディとラングレンは、ガイガーが死んだ翌日、ガイガーの本屋の事務所で引っ越しの作業をしていますので、死体を隠したのは引っ越しが終わるまでの時間稼ぎでしょう。

その証拠に、引っ越しが終わった (本を運び終えた) 二日目の夜には死体は彼のベッドに戻されていました。

ラングレンはなぜブロディを撃ったのか?

ガイガーの死体が綺麗にベッドに戻されていたことから、死体を運んだラングレンがガイガーを慕っていたということが窺えます。

ブロディはラングレンに「殺したのは俺じゃない」と説明したか、あるいは犯人のことは濁していたはずです。

ですが、ラングレンはガイガーを殺したのはブロディだと思い込んだ。(ポルノ本を横取りしたのだから当然ですね)

そして慕っていたガイガーの仇を撃つためにブロディを殺した、ということだと思います。

解決しなかった疑問点

・リーガンとマース夫人の本当の関係

・リーガンが殺害された時の状況

・ガイガーとブロディの具体的な関係性

・マースのマース夫人に対する気持ち

これらの疑問は結局、推測できるだけのヒントが劇中にはありませんでした。

ただ、個人的にはマース夫人が言う通り、リーガンとマース夫人はただの仲の良い友達だったんじゃないかと思います。

一番最初の「事件の全貌」で書いた通り、
『マースはリーガンの死を隠蔽するために、自分の妻と駆け落ちしたことにした』 という箇所が私の推測です。

マースの悪口を言われて本気で怒ってマーロウに水をぶっ掛ける夫人の姿を見る限り、マースに対しての愛情や忠誠心は本物だと思います。

劇中ではマーロウがマース夫人のことを「イイ女」と呼ぶ箇所が二度ほどありますが「夫に献身的な妻=イイ女」という意味で言っていたのではないでしょうか。

もう一つ、「事件の全貌」で推測で書いたのは
その場に居合わせたマースは… 』という箇所です。

そうです、カルメンがリーガンを殺害した時の状況が全く分からないのです。

その場に誰が居たのか?
どこで殺した?
どうやって殺した?

・・・・

やっぱり、

どうやって殺した?

というのが一番の謎です。

映画の冒頭でスターンウッド爺さんがマーロウにこう言います。

「彼(リーガン)と撃ち合えるとは大したものだよ」

物語の中盤ではマーロウがマースにこう言います。

「あんたに殺せやしない。彼(リーガン)を知っている」

これらのセリフを聞く限り、リーガンはよっぽどの益荒男なんでしょう。

その男が正気を失った若い娘にあっさりと殺されてしまうとは…

どんなに体力や経験がある強い男でも油断をしたら一瞬で死んでしまうということでしょうか。

この映画に対する個人的評価

ウィキペディアにも「 プロットが大変込み入っていることでも有名な映画」として書かれていますが、こうやって細かく紐解いていくと初見では見えていなかったことがずいぶんと見えてくるものですね。

時系列での登場人物の動向もそうですが、何度も観直したことで登場人物の心の中がだいぶ理解できました。

例えば、ラングレンがガイガーを慕っていたことや、マース夫人の夫に対する愛情などは2~3度観直さなければ見過ごしていたでしょう。

推理モノで一番要(かなめ)となるのはやはり登場人物の心理ではないかなと思います。

どういう理由でその行動を取ったのか?

この部分が破綻していたり詰めが甘いといくら巧妙なトリックを使って殺人を起こしても胸に響かないし記憶に残らないのです。

そういう意味では、この映画は登場人物の胸中を描くのがあまり上手くないな、と感じました。

本当に人を感動・感心させる映画は一度観ただけで内容が理解できます。

そういう点で、何度も見直さないと話の内容や人の心理が分からないこの映画は自分の理解力を差し置いたとしてもあまり優れた作品とは言えないですね。(何様)

ただ今回、このようにブログに書いてまでも内容をまとめようと思った映画は本当に久しぶりだったので楽しい経験となりました。

(ちなみに私はコロンボ、古畑、乱歩、その他推理モノ作品が大好きです)

またこのように難解な映画と巡り合えたら、メモを取ってまとめてみようと思います。

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